胸焼けとは?
胸焼けとは、胸の奥が「ジリジリ」「カーッ」と焼けつくように感じる不快な症状のことを指します。特に胃食道逆流症(GERD)は、食後や横になったときに出やすく、胃から食道へ逆流した胃酸によって起こることが多いです。胸の中央から喉元にかけて広がるような違和感や熱感が特徴で、場合によっては「酸っぱい液体が口に上がってくる」「喉がイガイガする」といった症状を伴うこともあります。
胸焼けは一時的なものであれば問題ない場合もありますが、繰り返し起こる場合や長期間続く場合には、食道や胃、その他の臓器にも病気が隠れている可能性があるので注意が必要です。

胸焼けを引き起こす疾患
胸焼けを起こす疾患は下記のようにたくさんあります。
•胃食道逆流症(GERD):最も頻度が高く、典型的な胸やけ症状の主因です。
•食道運動障害:アカラシア、食道けいれん、食道狭窄などが胸やけ症状を呈することがあります。
•好酸球性食道炎:食道粘膜の好酸球浸潤による炎症で、胸やけや嚥下障害を伴うことがあります。
•薬剤性食道炎:NSAIDs、ビスホスホネート、テトラサイクリンなどの薬剤による食道粘膜障害。
•食道癌・胃癌・十二指腸癌:悪性腫瘍も胸やけ症状の原因となり得ます。
•食道潰瘍:潰瘍性病変も胸やけ症状の原因となり得ます。
•食道裂孔ヘルニア:胃内容物の逆流を助長し、胸やけを引き起こします。
•心疾患(狭心症・心筋梗塞):胸やけ様症状を呈することがあり、鑑別が重要です。
•機能性ディスペプシア:検査に異常が認められないにもかかわらず胸やけ症状がある。
•その他:胃炎、消化性潰瘍、胆石症なども胸やけ様症状を呈することがあります。
胸焼けでこんな人は特に注意!
・60歳以上で初めて胸焼けが出現
・体重が減っている
・飲み込み辛い
・飲み込んだ時に痛い
・持続する嘔吐
・消化管出血、鉄欠乏性貧血
・1親等内に胃癌・大腸癌の人がいる
上記に当てはまる場合は、食道癌・胃癌などの悪性腫瘍でないことをチェックする必要があります。

まとめ
胸焼けは一見ありふれた症状に思えますが、その背景には胃食道逆流症だけでなく、食道や胃の腫瘍、さらには心臓の病気が隠れていることがあります。
特に、症状が繰り返し続く場合や、体重減少・嚥下障害・嘔吐・貧血などを伴う場合には、放置せずに原因をしっかり調べることが重要です。
診断には胃カメラ(内視鏡検査)が有効で、食道や胃の粘膜を直接確認することで逆流性食道炎や潰瘍、悪性腫瘍の有無を早期に発見できます。
また、胸やけが胸痛や息切れとともに出現する場合には、狭心症や心筋梗塞など心疾患の可能性も考え、採血や心電図などの検査も行わなければなりません。
胸焼けは「よくある症状だから大丈夫」と自己判断せず、症状が続く方や強い不安を感じる方は、ぜひ一度医療機関を受診していただくことをおすすめします。
早めに適切な治療を行うことで、安心して日常生活を送りましょう。
参考文献
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The American Journal of Gastroenterology. 2022;117(1):27-56. doi:10.14309/ajg.0000000000001538.新臨床内科学 第10版
