逆流性食道炎

逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎(GERD:Gastroesophageal Reflux Disease)は、胃の中の酸(胃酸)や内容物が食道へ逆流し、食道の粘膜に炎症を起こす病気です。

逆流性食道炎を疑う症状

以下のような症状がある場合、逆流性食道炎の可能性があります。

胸やけ:胸の中央がジリジリ焼けるような感覚

喉の違和感・つかえ感・声がれ:朝起きた時や話し始めに喉がイガイガする、声がかすれる

酸っぱいものが上がってくる(呑酸):食後や夜間に口の中に酸っぱい液体が上がる

咳や喘息様症状:特に横になると悪化する咳

食後の膨満感、ゲップの増加

逆流性食道炎の疫学

近年、日本でも逆流性食道炎の患者数は増加しています。

肥満・運動不足・ストレス社会の影響で年々増加しており、日本人の約10%が逆流性食道炎であると言われています。

生活習慣の欧米化(脂っこい食事、夜食、早食いなど)も影響しています。

原因は何?

逆流性食道炎は、

・下部食道括約筋(食道と胃の繋ぎ目にある筋肉)のゆるみ

・逆流した胃酸や内容物が食道に残ってしまう(食道クリアランス不全)

が原因で【胃酸や胃の内容物が食道に逆流すること】で発症します。

なぜ発症するのか?

・食べすぎ・早食い・就寝前の食事

・脂肪やアルコール、チョコレート、カフェイン摂取

・肥満や妊娠による腹圧の上昇

・加齢やストレスによる自律神経の乱れ

・薬剤(Ca拮抗薬、抗コリン薬など)

・ピロリ菌の除菌後

上記に当てはまる方は逆流性食道炎になるリスクを持っています。

逆流性食道炎ってどんな種類があるの?

・GERD・・・粘膜に傷(びらん,潰瘍)を認める逆流性食道炎

・NERD・・・粘膜に傷(びらん,潰瘍)を認めない逆流性食道炎。下記3種類あり。

 ①過剰な酸曝露によるNERD

 ②逆流過敏性食道・・少量の胃食道逆流でも症状を呈する

 ③機能性胸やけ・・胃食道逆流と無関係に症状が出現する

逆流性食道炎は大きく分けると2種類あります。内視鏡検査をしても分からないけれど、逆流性食道炎だったということがあるんです。これがNERDの患者さんです。難治性の逆流性食道炎の多くはNERDの人が多いと言われています。

診断方法と検査

逆流性食道炎の診断には、主に以下のような方法が使われます:

1. 問診(症状の聞き取り)

 胸やけや呑酸などの自覚症状の頻度・時間帯・誘因を確認します。

2. 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

 食道粘膜に炎症(びらんや潰瘍)が見られるかを確認

 バレット食道などの合併症をチェック

3. PPI(P-CAB)テスト

 胃酸を抑える薬を使うことで症状が改善されれば、逆流性食道炎であったと判断する。(非心臓性胸痛の鑑別に有用)

#難治症例に行うもの(専門機関で)

4. 24時間pHモニタリング

 食道内の酸の逆流を測定(特に非びらん性GERDに有効)

5. 食道内圧測定検査(必要に応じて)

 食道の動きや括約筋の機能を測定

当院では問診と胃カメラ検査で逆流性食道炎を診断します。症状が改善せず、必要であれば専門機関での24時間pHモニタリングや食道内圧測定検査を紹介します。

治療法

1. 薬物療法

プロトンポンプ阻害薬(PPI):胃酸の分泌を抑える(例:エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾールなど)

ボノプラザン(PCAB): 胃酸の分泌を抑える(タケキャブ)

H2ブロッカー:軽症例やPPIが使えないときに(例:ファモチジン・ガスターなど)

上記に上乗せで使用する薬剤

・アルギン酸塩・・・粘膜にバリアを作り、炎症を抑える作用がある

・モサプリド・・・胃や腸の動きをよくする

・アコチアミド・・・胃や腸の動きをよくする

・六君子湯・・・胃や腸の動きをよくする

2. 生活習慣の改善(必須)

食事量・内容・食事時間の見直し

・適度な運動と減量

・姿勢や就寝方法の工夫(後述)

3. 内視鏡治療

   最近では内視鏡による手術で改善するという方法があります。

・内視鏡的逆流防止粘膜切除術(AERMS)・・胃カメラを使って、胃と食道のつなぎ目のゆるみを治す治療です。つなぎ目の一部の粘膜をわざと取り除いて、自然に再生させることで、その部分を引き締めて、胃酸の逆流を防ぎます。

・内視鏡的粘膜焼灼術(ARMA)・・胃カメラを使って、胃と食道のつなぎ目のゆるみを治す治療です。つなぎ目の粘膜を焼いて傷を作り、自然に再生させることで、その部分を引き締めて、胃酸の逆流を防ぎます。

4. 外科的治療

重症例では食道噴門形成術(Nissen法、Toupet法など)を行います。

胃の一部を食道のまわりに巻きつけて逆流を防ぐ手術になります。

自宅でできる予防法

日常生活の中でできる予防・改善策を紹介します。

・食生活の工夫

 脂っこいもの、チョコレート、炭酸飲料、カフェイン、アルコールを控える、食べすぎを避け、ゆっくりよく噛んで食べる

・寝る前2~3時間は飲食を控える

 食後すぐに横にならない

 就寝時は上半身を少し高くして寝る(クッションやリクライニング利用)

 ベルトやガードルで腹部を締め付けない

・生活習慣の見直し

 体重管理(肥満は腹圧を高める)

 喫煙は逆流を悪化させるため禁煙を

 ストレス管理や睡眠の質改善も大切

まとめ

逆流性食道炎は、意外と身近にある病気です。生活習慣の改善が治療と予防のカギです。胸やけや喉の違和感などの症状を感じたら、早めに専門医に相談し、適切な検査・治療を受けましょう。

ストレスや不規則な生活の多い方は要注意です。

当院では、胃カメラ検査はもちろん、食生活指導や生活改善のアドバイスも行っております。気になる症状があればお気軽にご相談ください。

参考文献

今日の治療指針

日本消化器病学会 編 : 胃食道逆流症 (GERD) 診療ガイドライン2021 (改訂第3版). 南江堂, 2021日本消化器内視鏡学会雑誌:2023 年 65 巻 6 号 p. 1085-1101