機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアってどんな病気?

日本消化器病学会が発表している、ガイドラインでは以下の定義があります。

「症状の原因となる器質的,全身性,代謝性疾患がなく,慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患である。」

これを簡単にいうと、色々検査をしても原因となる病気が見つからないにも関わらず、胃のあたりに症状がある。これが機能性ディスペプシアという病気です!

どれくらい身近な病気なの?

日本人のデータではクリニックの外来を受診した人の2.9%が機能性ディスペプシアだったという報告があります。

また、最新の国際疫学調査では、機能性ディスペプシアの有病率は7.2%(国によって2.2~12.3%)と報告されており、女性に多く、年齢とともに有病率は減少する傾向があります。日本人は世界の人々と比べると少ない傾向があります。

また、病院を上腹部症状で受診した患者さんの45-53%がこの疾患であったという報告もあり、身近な病気であることがわかります。

この病気になりやすい人は?

以下の特徴を持つ人は機能性ディスペプシアになりやすいと言われています。

・家族歴(家族で同じ病気の人がいる)

・睡眠障害

・食行動(特に朝食・昼食を抜く人や食事回数が減っている人)

・低BMI(痩せている)

・月経痛

・喫煙、飲酒

・運動不足

・抑うつ症状がある  など

特徴的な症状・診断基準

機能性ディスペプシア(FD)の診断基準

【機能性ディスペプシア】

つまり、上記の4つの症状が以前から長く続いていて、検査をしても原因がわからない時に機能性ディスペプシアの診断になります。

さらに、機能性ディスペプシアは主に2つの分類に分けられます。

食後愁訴症候群(PDS)の診断基準

心窩部痛症候群(EPS)の診断基準

行う検査は?

機能性ディスペプシアに特化した検査はありません。

重大な病気や説明が可能な病気が隠れていないか検査をすることになります。

・採血

・上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

・ピロリ菌検査

・腹部エコー検査

・CT検査

・胃排出機能検査

など、必要時行います。

下記がある場合は積極的な検査が必要です。

①高齢での新規症状発現

②体重減少

③再発性の嘔吐

④出血

⑤嚥下障害,嚥下痛

⑥腹部腫瘍

⑦発熱

⑧食道癌や胃癌の家族歴

治療方法は?

現在、ガイドラインでは以下のような治療が推奨されています。

ピロリ菌がいる場合:

・除菌治療を行う

第一選択薬:

・酸分泌抑制薬:エソメプラゾールやタケキャブなど

・アコチアミド

・漢方:六君子湯

第二選択薬:

・漢方:半夏厚朴湯など

・抗うつ薬・抗不安薬:スルピリド・タンドスピロンなど

・消化管運動機能改善薬:モサプリド・イトプリド・メトクロプラミド・ドンペリドンなど

日常でできる予防・治療は?

日常での生活習慣を改善することで症状を緩和させることも可能です。

以下が推奨されています。

・脂肪分や刺激物(揚げ物、香辛料、炭酸飲料、アルコールなど)を避ける

・少量、頻回の食事

・ゆっくり食べる

・規則正しい食事

・症状発症を起こす食品の把握と回避

・ストレス管理

・十分な睡眠

・適度な運動

また、食事療法として低FODMAP食や地中海食が良いという報告もありますが、個々によって効果に差があります。

まとめ

機能性ディスペプシア(FD)は、検査をしても明らかな原因が見つからないのに、胃の痛みや胃もたれ、食後の不快感が続く病気です。

症状が続くと「もしかして大きな病気では…」と不安になることもありますが、まずはしっかり検査をして、胃がんや食道がんなど重大な病気が隠れていないかを確認することが大切です。

胃の不快感が長く続く方、食後に強いもたれやお腹の張りがある方は、一人で悩まずに医療機関にご相談ください。

早めの受診が、安心と快適な日常につながります。

参考文献

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日本消化器病学会-機能性消化管疾患診療ガイドライン 2021 ― 機能性ディスペプシア(FD)(改訂第2版)

今日の治療指針