潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症やびらん・潰瘍ができる慢性の腸の病気です。

免疫の異常が関係していると考えられており、細菌やウイルス感染が原因ではありません。

日本でも潰瘍性大腸炎患者は年々増加傾向で、30歳代などの若年者に多い病気です。

指定難病に指定されています。

現時点の医学的知見では、「完治」することはなく、薬剤によって寛解(改善している状態)を維持していくことが重要です。

主な症状は、

・下痢(血が混じることも多い)

・粘液便(ドロっとした便)

・血便

・腹痛

・発熱

・体重減少 など

症状が良くなる「寛解期」と悪化する「再燃期」を繰り返すのが特徴です。

どんな検査をするの?

患者さんの個々の状態によって以下の必要な検査を行います。

・採血

・便潜血検査

・便培養検査(他の病気の鑑別を行います)

・血清ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)

・便中カルプロテクチン(fCP)

・下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)

・腹部レントゲン検査

・腹部エコー検査

・CT検査

大腸がんのリスクは?

潰瘍性大腸炎の炎症が長期間続くと、大腸がんのリスクが上昇します。

発症から8年以降 にリスクが上がるとされ、特に以下の方は注意が必要です。

・若年で病気を発症した

・炎症の範囲が広い(全大腸型)

・長期間再燃を繰り返している

・家族に大腸がんの方がいる

・原発性硬化性胆管炎(PSC)を合併している

そのため、定期的な大腸カメラ検査(1〜2年に1回)が推奨されます。

早期に異常を見つけることで、がんの発生を防ぐことができます。

どんな治療をするの?

潰瘍性大腸炎は「寛解(症状のない状態)」を維持することが治療の目標です。

薬物療法

主な治療薬には次のものがあります。

・5-ASA製剤(メサラジンなど):炎症を抑える基本薬。内服・坐剤・注腸薬があります。

・ステロイド:炎症を強く抑える薬。寛解後は漸減して中止します。

・免疫調整薬(アザチオプリンなど):再燃を防ぐ維持療法として使用します。

・生物学的製剤(抗TNFα抗体など):上記の薬剤でもコントロールできない場合、使用します。現在様々な薬剤が新しく出てきており、難治例にも効果が期待されます。

など

*その他の治療

・血球成分除去療法:体の外にいったん血液を出し、炎症を起こす白血球を取り除いてから血液を体に戻す治療

などもあります。

症状が重い場合や薬の効果が乏しい場合には、外科手術(大腸全摘術)が検討されることもあります。

日常でできる予防・治療は?

*食事療法

 地中海食は潰瘍性大腸炎の活動性を抑えると報告されています。具体的には、

・食物繊維をしっかりとる

・オメガ3脂肪酸をとる(青魚や亜麻仁油など)

・不飽和脂肪酸を取り入れる(青魚やオリーブ油・ナッツ類など)

・加工食品を控える

* 運動を生活に取り入れる

* 睡眠をしっかりとる

* ストレスを抱えすぎない

* NSAIDの痛み止めを使わない(ロキソニンなど)

まとめ

潰瘍性大腸炎は、免疫のバランスが崩れて自分の腸を攻撃してしまう病気です。

炎症が続くとがんのリスクも上がるため、1〜2年に1回の大腸カメラ検査が推奨されます。

治療は薬による炎症のコントロールが中心ですが、食事(オメガ3脂肪酸や不飽和脂肪酸、食物繊維の摂取)・運動・睡眠・ストレスケアもとても大切です。体の内側から整えることで、再燃を防ぎ、穏やかに過ごす期間を長く保てます。

参考文献

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The Lancet. Gastroenterology & Hepatology. 2022;7(7):666-678.

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