胃癌とは?
胃がんとは、胃の粘膜にできる悪性腫瘍(がん)のことです。
日本は世界的に見ても胃がんの発生率が高く、男女ともにがんの中で上位を占めています。かつては多かった進行がんも、現在では胃カメラによる早期発見が増えており、早期であれば内視鏡治療で完治するケースも多くなっています。

胃癌のリスクは?
胃癌のリスクには以下のようなものがあります。
・親、兄弟に胃癌の家族がいる
・ピロリ菌が感染してる、していた
・喫煙(かつてしていた場合も)
・飲酒(過去に飲んでいた場合も)
・赤身肉の摂取(週4回以上)
・塩分高めの食事
胃癌の症状は?
早期の胃癌では、自覚症状がほとんどありません。
そのため、症状が出たときにはすでに進行していることが多いです。進行すると、次のような症状が現れることがあります。
・腹痛やお腹の違和感
・嚥下困難
・食欲不振
・吐き気・嘔吐
・お腹が張る
・体重減少
・貧血(出血による)
・黒っぽい便(タール便)
進行胃癌で体重減少と嚥下困難の症状が出ている方は、癌の進行が進んでいることもあり、回復が難しくなる傾向があると報告されています。
胃癌の検査は?
早期発見に有用な検査は以下の検査です。
・胃部X線検査(バリウム検査)
・上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
この中でも最も推奨されるのは胃カメラ検査です。内視鏡により病変を直接観察することができ、胃癌の疑わしい組織を生検して精査することが可能です。早期胃癌の診断に必須な検査です。
胃癌が発見された後にはStage(ステージ)を確定させる必要があります。その結果で治療方針が変わってきます。精査を行うため以下の検査を必要に応じて行います。
・超音波内視鏡検査(EUS)
・腹部エコー
・CT検査
・MRI検査
・PET検査
補助的検査として、血清腫瘍マーカー(CEA, CA19-9,等)を確認する採血検査がありますが、診断の補助的役割に留まります。腫瘍マーカー検査で陰性だからといって、癌がないとは言えません。
胃癌の治療は?
胃癌の治療は,内視鏡的切除,外科手術,化学療法が主な治療になります。
*内視鏡的切除
内視鏡的切除の適応となる胃癌は,早期の胃癌です。
リンパ節への転移の可能性がきわめて低いか、腫瘍が一括切除できる大きさであるか、腫瘍が粘膜の深い部分にまで達していないか、などが条件になります。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という方法で、胃カメラを使って胃の中から腫瘍を取るために、外科手術のようにお腹に穴を開けることはありません。
*外科手術
胃癌の進行が進んでおり、内視鏡的切除ができない場合は外科手術となります。
癌の進行度(ステージ)や場所、患者さんの体力・年齢などに応じて、
胃のどの部分を、どの範囲まで切除するかを決めていきます。
・主な胃癌手術の種類
① 幽門側胃切除術(ゆうもんそくいせつじょじゅつ)
胃の出口(幽門側)にがんがある場合に行う手術です。胃の下2/3程度を切除し、残った胃と小腸をつなぎます。
② 噴門側胃切除術(ふんもんそくいせつじょじゅつ)
胃の入口(食道とつながる部分)にがんがある場合に行います。胃の上部を切除し、残った胃と食道を再びつなぎます。
③ 胃全摘術(いぜんてきじゅつ)
がんが胃全体に広がっている、または中央付近にある場合に行います。胃をすべて切除し、食道と小腸をつないで食事ができるようにします。
*化学療法(抗癌剤)
胃癌の化学療法(抗癌剤治療)とは、薬の力で癌細胞の増殖を抑える治療です。癌が進行していて手術で取りきれない場合や、再発を防ぐための補助療法として行われます。
化学療法を行う目的は病期(ステージ)によって異なります。
・術前化学療法(手術の前に行う)
癌を小さくして、手術で取りきれるようにする目的で行います。
・術後補助化学療法(手術の後に行う)
目に見えない癌細胞(微小転移)を消すことで、再発を防ぐ目的があります。
・切除不能・再発胃がんに対する化学療法
癌を完全に取り除けない場合に、癌の進行を抑え、症状をやわらげ、延命を目指す治療です。

胃癌の予防は?
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の間隔が2年6ヶ月以上になると内視鏡的に治療できない病変が増えてしまうと言われています。そのため、対策型検診では50歳以上を対象に2-3年ごとに内視鏡検査を行うことが良いと報告されています。
日本においても50歳以上の方は胃がん検診で、
・胃バリウム検査(毎年)
・胃カメラ検査(2年毎)
を受けることが可能です。定期的に検査をする習慣をつけて、胃癌で苦しむことのないように早期発見・早期治療を目指しましょう。
まとめ
胃癌は、日本人にとって決して珍しい病気ではありません。
しかし、ピロリ菌の除菌と定期的な内視鏡検査によって、予防できる病気でもあります。
胃の不快感、食欲の低下、体重の減少などは、「年のせい」「疲れのせい」と思いがちな症状ですが、その中に胃がんが隠れていることもあります。
健康なときこそ、自分の体をチェックするチャンスです。定期的な胃カメラ検査を受けて、早期発見・早期治療につなげましょう。
参考文献
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日消誌 2020;117:469―476
胃癌診療ガイドライン2025
今日の治療指針2025年版
今日の診断指針 第9版
