「大腸がんって、やっぱり怖い病気ですよね」
「名前を聞くだけで不安になります。できれば考えたくありません」
そう感じるのは、とても自然なことです。
がんという言葉そのものに、強い不安がありますし、とくに大腸がんは「症状が出たらどうしよう」「大腸カメラになったら大変そう」と、検査のことまで含めて気持ちが重くなりやすい病気です。
でも、消化器内科の医師としてお伝えしたいのは、大腸がんはたしかに怖い病気です。だからこそ、怖さの正体を知って、早い段階で動けることが大切 だということです。
今回は、「大腸がんはなぜ怖いのか」を患者さん目線で整理しながら、怖いからこそ今できることをお伝えします。
1. 大腸がんが怖いのは、身近な病気なのに、初期は静かに進む
まず一番大きいのは、決して珍しい病気ではない ということです。
日本では、2023年に154,039人が大腸がんと診断 されています。これだけ多いということは、「よほど特別な人だけがなる病気」ではない、ということです。
しかも厄介なのは、早い段階では自覚症状がほとんどないことがある点です。
大腸がんというと、
- 血便が出る
- お腹が痛くなる
- 便秘や下痢が続く
- 体重が減る
といった症状をイメージする方が多いと思います。
もちろん進行するとこうした変化が出ることがあります。ですが、初期は何も感じないまま経過することがあります。
つまり、大腸がんの怖さは、「強い症状が出る病気」だからというより、気づいたときには少し進んでいることがある というところにもあります。
2. 本当に怖いのは、「見つかること」より「見つかる機会を逃すこと」
「大腸がんが怖いから、検査も怖い」
これは本当によくわかります。
とくに大腸がん検診や大腸カメラの話になると、
- 何か見つかったら嫌だ
- 陽性と言われたら怖い
- できれば知らずにいたい
という気持ちになる方は少なくありません。
でも、ここで考えていただきたいのは、本当に怖いのは、今見つかることそのものではない ということです。
大腸がんは、早期に見つかれば 90%以上が治る とされています。
この数字が示しているのは、怖い病気であっても、早い段階で見つければ流れを変えられる可能性が高い、ということです。
反対に言うと、症状がないから、忙しいから、怖いからと先送りにしてしまうと、早く見つけられたかもしれない機会を逃してしまいます。
ですから、大腸がんで本当に避けたいのは、
- 検査で見つかること
ではなく、
- 見つかるはずだったタイミングを通り過ぎてしまうこと
です。

3. 大腸がんが怖いなら、まずは便潜血検査という入口を
怖い病気だと聞くと、いきなり大きな検査を想像してしまうかもしれません。
でも、大腸がん検診の入口は、最初から大腸カメラではありません。
基本になるのは便潜血検査です。
これは、便に目で見えない血液が混じっていないかを調べる検査で、日本では 2日法 が採用されています。1回ではなく2回調べるのは、出血が毎日同じように出るとは限らないからです。
一宮市では、40歳以上の方が年1回500円 で大腸がん検診を受けることができます。
ここが大切です。
怖い病気だからこそ、「何も考えない」か「いきなり大腸カメラ」かの二択ではありません。まずは便潜血検査という入口を持つことができます。
しかも、便潜血検査は食事制限なしで受けられます。大腸がんが怖いと感じている方ほど、まずは入口の検査から始めるのが現実的です。
4. 陽性でも、すぐに大腸がんと決まるわけではない
ここも不安になりやすいところです。
便潜血検査で陽性が出ると、「やっぱり大腸がんでは」と考えてしまいますよね。
ただ、実際には、便潜血陽性の方のうち、がんが見つかるのは約3〜6% とされています。
つまり、陽性イコールすぐ大腸がん、というわけではありません。痔、ポリープ、炎症などが関係することもあります。
それでも大切なのは、1日だけ陽性でも自己判断で終わらせないこと です。
怖いから見たくない、考えたくない、という気持ちは自然です。ですが、そこで止まってしまうと、確認できるはずの原因まで先送りになります。
陽性のときに大切なのは、慌てすぎることではなく、落ち着いて次の精密検査につなげることです。
5. 症状があるなら、「検診待ち」ではなく受診を
大腸がんが怖い病気だと聞くと、「まず検診を受けよう」と思う方も多いと思います。
ただし、今すでに
- 血便がある
- 黒っぽい便が出る
- 便秘や下痢が長く続く
- 便の形や回数が急に変わった
- 腹痛やお腹の張りが続く
- 原因不明の体重減少がある
といった症状がある場合は、検診だけで済ませるより、受診して相談したほうがよいことがあります。
大腸がん検診は、症状がない方の入口です。
症状がある方は、
- 検診の案内が来るまで待つ
- とりあえず便潜血検査だけで様子を見る
よりも、今の症状に合った確認を考えるほうが安心です。
怖い病気だからこそ、症状がない方は検診、症状がある方は受診 という線引きを知っておくことが大切です。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 大腸がんが怖いので、検査を受けるのも怖いです。どう考えればよいですか?
A. その気持ちは自然です。ただ、怖さのせいで何もしないまま時間が過ぎることのほうが、結果的に不安を大きくすることがあります。まずは便潜血検査という入口から考えると、最初の一歩が少し軽くなります。
Q. 大腸がんは怖い病気なら、症状がなくてもすぐ大腸カメラを受けるべきですか?
A. 状況によります。症状がない方は、まず大腸がん検診から考える方法があります。一方で、便潜血陽性、家族歴、年齢、これまで未検査などの状況によっては、大腸カメラを相談する意味もあります。
Q. 陽性だったら、もうかなり危ないのでしょうか?
A. そうとは限りません。陽性だからすぐに大腸がんと決まるわけではありません。ただし、自己判断で止まるのは避けたいので、次の精密検査につなげることが大切です。
メッセージ
大腸がんは、たしかに怖い病気です。
でも、その怖さは「名前の重さ」だけではありません。身近な病気であること、初期は症状が目立たないこと、そして怖さのせいで確認を先送りにしやすいこと。その積み重ねが、大腸がんをより怖いものにしています。
だからこそ、怖いと感じる気持ちを否定しなくて大丈夫です。そのうえで、怖いからこそ目をそらさず、今の段階で何ができるかを考えることが大切です。
「怖いけれど、何から始めたらいいかわからない」
「検診からでいいのか、受診を先にしたほうがいいのか迷っている」
「症状はないけれど、一度きちんと考えたい」
そうした方は、ご相談ください。LINE・WEB・お電話からご予約いただけます。今の状況なら何を優先するとよいか、一緒に整理していきましょう。

