大腸ポリープとは?
大腸ポリープとは、大腸(結腸や直腸)の粘膜にできる“いぼ”や“できもの”のような隆起(盛り上がり)のことをいいます。
形や大きさはさまざまで、1つだけできることもあれば、複数できることもあります。
多くは良性(癌ではない)ですが、一部のポリープは時間の経過とともに大きくなり、がんに変化する(腺腫→癌化)ことがあります。そのため、癌のリスクとなる大腸ポリープを早期に発見し、切除することが大切です。

大腸ポリープの原因は?
大腸ポリープができる要因として以下がリスクとして報告されています。
・喫煙
・肥満
・過度の飲酒
・赤肉の多量摂取
・食物繊維やカルシウム摂取の不足
・運動不足
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の不使用
・加齢・大腸癌やポリープの家族歴
特に喫煙は、腺腫性ポリープだけでなく鋸歯状ポリープのリスクも有意に高めることが示されています。大腸ポリープの発生には遺伝的な部分と、喫煙・肥満・食生活・運動不足などの生活習慣の両方が関係しています。
大腸ポリープの症状は?
多くの大腸ポリープは無症状です。
そのため、健康診断や大腸カメラで偶然見つかるケースがほとんどです。しかし、ポリープが大きくなったり、出血を伴う場合には次のような症状が見られることがあります。
・便に血が混じる
・便が細くなる
・下痢や便秘など便通の変化
・腹部の違和感や張り
こうした症状がある場合は、早めに大腸内視鏡検査を受けることが大切です。
大腸ポリープの種類
さまざまな種類のポリープがあり、ここでは大腸ポリープの中でも比較的よくみられるポリープについてご紹介します。
・大腸腺腫
腺腫は大腸ポリープの中で約80%を占める最も多いポリープです。長い年月をかけて「腺腫 → 癌」に変化することがあるため、6mm以上のポリープは原則として切除が推奨されます。
・過形成性ポリープ
このポリープも比較的多くみられるポリープです。多くは直腸やS状結腸にみられ、2〜5mm程度の小さく白っぽい隆起として見つかります。基本的には癌化することはないために治療の適応になることは少ないです。
・SSL(鋸歯状病変)
上行結腸や盲腸にできることが多い、平たくて白色のポリープです。以前は過形成性ポリープの一種と考えられていましたが、現在では癌化する可能性がある重要な病変として扱われています。平たいポリープのため、周囲の正常粘膜と区別がつきにくいのが特徴です。
・炎症性ポリープ
多くは潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に多発します。炎症によってポリープができたり、小さな潰瘍が治癒する過程で引きつれを起こしてポリープができたりします。炎症がある場合は発赤のあるポリープとして、炎症がなければ正常粘膜と同じような色のポリープとしてみられます。基本的に治療の必要はありません。
・若年性ポリープ
このポリープは有茎性のことが多く,表面は滑らかで、びらん・発赤を伴うことが多いです。さらに出血をしやすいポリープと言われています。腫瘍性のポリープと比較すると癌化の可能性は低いため、通常は経過観察のみでよいと考えられています。しかし、出血や腸重積などの症状がある場合や、癌化した場合は切除の適応となります。

大腸ポリープの治療は?
ここでは、病院やクリニックで最も治療を行う大腸ポリープである大腸腺腫の治療について説明します。
内視鏡を使って切除することには変わりありませんが、以下のように大きさによって切除の方法が変わります。
・10mm以下の大きさ:CSP(コールドスネアポリペクトミー)
スネア(輪っか状のワイヤー)でポリープを電気を使わずに切り取る方法です。「コールド」とは電流を流さないという意味で、出血や穿孔(穴が開く)のリスクが低く、安全性が高いのが特徴です。
・20mm未満の大きさ:EMR(内視鏡的粘膜切除術)
ポリープの下に液体を注入して少し持ち上げ、スネアで電気を使って切除する方法です。液体で粘膜を浮かせることで、安全にポリープだけを切り取ることができます。
・20mm以上の大きさ:ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
専用の電気メスで病変の下の層を慎重に剥がして、一括で切除する高度な方法です。広い範囲の腫瘍や平坦な病変でも一度に完全に取り除くことができるのが特徴です。
上記の方法は大きさだけで判断されているわけではなく、癌が含まれている可能性があるのか、切除しにくい場所にあるのか、など総合的に判断された中で手技が決定します。
まとめ
大腸ポリープは放っておいても痛みなどの症状がないことが多いですが、
「症状がない=安心」ではありません。
知らないうちに大きくなり、がんへと進行してしまうケースもあります。
大腸がんは早期発見すればほとんどが治る病気です。
その第一歩がポリープの段階での発見・治療です。
便潜血検査で陽性だった方、家族に大腸がんの方がいる方、ポリープが不安な方は、大腸カメラ検査を受けてみましょう。

参考文献
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Scientific Reports. 2024;14(1):16865. doi:10.1038/s41598-024-67822-z.
大腸 cold polypectomy ガイドライン(大腸ESD/EMRガイドライン追補)
大腸ポリープ診療ガイドライン2020
新臨床内科学 第10版
専門医のための消化器病学 第3版
今日の治療指針2025年版
