胃のポリープとは?
胃ポリープとは、胃の粘膜(内側の壁)にできる“いぼ”や“できもの”のような隆起(盛り上がり)のことをいいます。
形や大きさはさまざまで、1つだけできることもあれば、たくさんできる場合もあります。
多くは良性(がんではない)であり、すぐに命に関わるようなものではありませんが、種類によっては前がん病変(将来的にがんになる可能性を持つ細胞)や、早期のがんを含む場合もあります。

どんな種類のポリープがある?
・胃底腺ポリープ
表面はつるっとしており、淡いピンク色から白色の、部分的に半透明であることが多い特徴を持つポリープです。
50歳以上の方、ピロリ菌に感染していない方や、胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬:PPI)を長期間服用している方に多く見られます。
ほとんどが良性で、がんになることはまれです。
特に小さいものは経過観察のみで問題ないことが多いです。しかし、家族性大腸腺腫症のような疾患を持つ方ではその一部が癌化する可能性もあります。
・過形成性ポリープ
ピロリ菌感染によって炎症を起こした胃に多く現れるポリープです。
主に赤みが強く、数mmから数cmにわたって様々な大きさのポリープがあります。
多くは症状なく経過しますが、抗血栓薬を内服中の患者では出血による症状(吐下血,鉄欠乏性貧血)が生じることがあります。また幽門(胃の出口)付近に生じた巨大ポリープではポリープによって内容物の通過障害を認める場合もあります。
多くは良性ですが、大きくなるとまれにがんを含むことがあるため、経過観察が必要です。また、切除が必要となる場合があります。ピロリ菌を除菌するとポリープが小さくなったり、なくなったりすることがあるため、ピロリ菌感染がある方は除菌をお勧めします。
・胃腺腫
ピロリ菌感染によって作られた萎縮性胃炎を発生母地として出現する良性腫瘍です。悪性腫瘍である胃癌とは異なって、胃腺腫は浸潤や転移をきたさない疾患です。基本的には無症状で経過します。
しかし、内視鏡検査や生検診断のみで胃腺腫と胃癌を鑑別することが困難な場合があり、生検診断で腺腫(Group 3)と診断された場合も癌を否定できません。
赤い病変,凹んだ病変,大きな病変(2cm以上)などの所見をもつ胃腺腫は、生検診断で胃腺腫であっても、切除をしてみると最終診断で胃癌と診断される可能性が高いです。そのため、消化器内科専門医が内視鏡所見を参考に切除の必要性を判断します。

ポリープは全部取らないといけない?
すべてのポリープを取る必要はありません。
胃ポリープのほとんどは良性で、経過観察だけで十分な場合が多いです。
ただし、以下のような場合には切除を検討します。
・短期間で大きくなっている
・表面に出血やびらんがある
・組織検査で腺腫やがんが疑われる

症状はあるの?
多くの胃ポリープは無症状です。
痛みや違和感を感じることはほとんどありません。
しかし、ポリープが巨大で通過障害を来している場合や、ポリープから出血している場合などは、嘔気・嘔吐・貧血症状などが起こる可能性があります。
検査は?
診断には胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を行い、精査をします。
健診で行われている、胃のバリウム検査も胃のポリープの有無がわかる検査ではありますが、胃カメラの方が直接見ることができるために正確な診断に繋がります。

治療は?
治療はポリープの種類や大きさによって異なります。
・胃底腺ポリープ: 基本的には経過観察。胃酸分泌抑制薬(PPIやタケキャブなど)を漫然と長期内服している方は中止しましょう。
・過形成性ポリープ: ピロリ菌が関係している場合は除菌治療で改善する可能性があります。また、出血しやすいポリープや大きくなっているポリープは内視鏡的な切除を検討します。
・胃腺腫: 経過観察、もしくは内視鏡的切除を考慮します。内視鏡的切除を行なったあとは、再発や新たなポリープの発生がないか定期的な胃カメラによるフォローが大切です。
まとめ
胃ポリープは、多くが良性で心配のいらないものですが、種類や大きさによっては早期がんを含む場合もあるため、注意が必要です。
特に、短期間で大きくなっている場合や、出血を伴う場合、組織検査で異常が疑われた場合は、早めの対応が大切です。
ほとんどのポリープは症状がなく、自分では気づけません。
そのため、定期的な胃カメラ検査によって、早期発見・早期治療につなげることが最も重要です。
もし健診で「胃ポリープを指摘された」「ピロリ菌陽性だった」「胃の不快感が続く」といった方は、一度、消化器内科で詳しく検査を受けておくと安心です。
参考文献
Journal of Gastroenterology and Hepatology. 2025;40(6):1374-1380. doi:10.1111/jgh.16972.
Gastrointestinal Endoscopy. 2020;91(5):963-982.e2. doi:10.1016/j.gie.2020.01.028.
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