食道癌とは?
食道(口腔と胃をつなぐ管状の臓器)に発生する悪性腫瘍です。主に二つの組織型があり、食道扁平上皮癌(ESCC)と食道腺癌(EAC)が大部分を占めます。食道癌の約90%は扁平上皮癌ですが、最近では食道腺癌の頻度が増加しつつあります。欧米でも以前は扁平上皮癌が主でしたが,現在では過半数が腺癌となっています。
日本での2021年に食道癌と診断された数は26075例、2023年に食道癌で亡くなった人は10750人と報告されています。最も進行の進んだステージ4の食道癌の5年生存率は21.5%と低く、早期発見が重要な病気であることがわかります。

食道癌のリスクは?
食道癌になりやすい人には以下の特徴があります。
・喫煙
・飲酒【すぐに顔が赤くなる人】
・熱い飲み物の摂取が多い
・肥満
・逆流性食道炎やバレット食道
・遺伝的な要因
この中で、最も重要なのは、喫煙・飲酒です。まずは、禁煙・節酒をすることで食道癌のリスクを下げましょう。
食道癌の症状は?
食道癌の症状は、初期には無症状であることが多いですが、進行すると最も頻度が高いのは嚥下障害(固形物が飲み込みづらくなり、その後、液体も飲み込みづらくなる、進行する嚥下困難)です。次いで多いのは体重減少であり、これは予後不良の指標にもなります。
その他、
・胸焼け
・食物の逆流
・嘔吐
・痛み(胸部、背部、上腹部)
・飲み込んだ時に痛みが出る
・食欲不振
などがみられます。
さらに進行した場合、
・声がかすれる(反回神経麻痺による)
・咳嗽や肺炎(気管支浸潤による)
・黒色便や貧血
・リンパ節が腫れる(特に左鎖骨上窩)
・肝腫大や胸水(遠隔転移)
が出現することもあります。
食道癌の検査は?
以下の検査を行います。
・採血
・上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
・超音波内視鏡検査
・CT検査
・PET検査
・食道造影検査
その中でも最も重要なのは上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)です。
直接カメラで観察することで、食道癌の診断に至ります。
早期に発見することで、大きな手術や化学療法(抗がん剤)を避けることができます。
食道癌の治療は?
*内視鏡手術
早期の食道癌に対して行います。早期食道癌、つまり、粘膜層に癌がとどまっていて、リンパ節転移リスクが低い癌は、内視鏡的切除(EMRやESD)が第一選択です。
この手術は胃カメラを使って食道の内側から癌を切除する手術なので、体の負担が少ない手術になります。
入院期間は施設にもよりますが、4-7日間程度が一般的です。
*外科手術
内視鏡手術が難しく、遠隔転移がない食道癌は適応となります。
*放射線治療
手術ができない患者(高齢、重篤な合併症、全身状態不良、または患者が手術を希望しない場合)や、手術前に腫瘍を小さくする目的などで使われる治療です。
*化学療法(抗がん剤)
以下の目的や状況で使用します。
・手術前に腫瘍を小さくする
・手術後に再発率を下げる
・遠隔転移があり手術ができない
・全身状態が良い
食道癌の予防
・禁酒、禁煙
・肥満の改善
・逆流性食道炎の治療
・食習慣の見直し
塩分・脂肪分の多い加工食品や高温の飲食物、硬い食物、過食・早食いを避けることがおすすめです。特に高温飲料や過食・早食いには気をつけましょう。
・定期的な胃カメラの実施
特に、喫煙や飲酒をされている方は年に1回の胃カメラ検査をしましょう。

まとめ
食道癌は初期には自覚症状がほとんどなく、気づいたときには進行していることが少なくありません。
しかし、禁煙・禁酒、肥満の改善、逆流性食道炎の治療、食生活の工夫 によってリスクを減らすことができます。
そして、何より大切なのは早期発見です。
定期的に胃カメラを受けることで、体への負担が少ない内視鏡治療で治せる可能性が高まります。
気になる症状がある方、喫煙や飲酒の習慣がある方は、ぜひ お近くの医療機関でしっかり検査を受けましょう。
参考文献
Best Practice & Research. Clinical Gastroenterology. 2018 Oct – Dec;36-37:3-8.
食道癌診療ガイドライン 2022年版
今日の診断指針 第9版
